SOUTH PARKの住人

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転勤というシステムが生産性を下げている

興味深い記事を発見した。

「転勤」が時代遅れになった、これだけの理由 | 文春オンライン

 

転勤という日本独自文化はなぜ今もなお続いているのだろうか、という記事。


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たしかにあまり考えたことは無かったが、転勤が出来る=給料が高くなるというのは意味不明なルールである。

転勤ができる社員だからと言ってなぜ優遇されるのか?過去を紐解いてみると、高度経済成長期に、さまざまな会社が全国へ事業を拡大し、各地の事業所などへ人をどんどん回さなくてはいけなくなったことが発端である様子である。

記事にもあるが、本来はその土地土地で現地採用を行い人を雇うのが企業としては最もローコストで人員を確保できるし、雇われる側も地元を離れることなく家を買い家庭を育みながら勤めることができる。もし都会で働きたいと望む人は、上京してそこで現地採用をされればいいし、逆に田舎で働きたい人も同様で、わざわざ全国転勤というギャンブルに賭けて自分の働く土地を決める必要は無い。全ての企業がこの形を取れればWin-Winで健全なのである。そうなれば各都道府県の自治体も雇用を確保するために活性化し、地方都市の活力アップも望めそうなところだ。

 

だが、残念ながらまず田舎で働きたいという人は多くない。働き方改革の一環として、働きたい土地で働けるよう舵を取り出した企業もあるようだが、もうこの国は東京一極集中型による経済が形成されており、もう取り返しのつくレベルではないのではと思っている。「罰として東北の事業所に飛ばす」なんて地方差別がかつての大企業では平然と行われていたこともあり、東京の神格化は過剰に進んでいった。

 

そうなると、今さらこの全国転勤というシステムを無くすと不公平になってしまう。転勤可の社員の方が賃金を良くしているから尚更である。「今まで給料のためにさんざん地方で頑張ってきた俺の苦労は何になる!」と言われてしまう。

でも転勤により発生する引っ越しや研修のコストは企業にとっても非常に負担で、1人動く→さらにもう1人動く、という玉突きの理由だけで複数の社員をいたずらに動かすことはなんのメリットも無いはずである。

 

記事では、会社側が主張するこの転勤システムの1番の理由を、マンネリの防止であるとしているが、うちの会社もこれを唱えている。だが、これも記事にあるように、普通に考えればマンネリが発生するような組織の体質を抜本的に改善するのが先である。ただ、先に述べたように、一極集中型の弊害で地方への異動にデメリットが存在する状態では、よほどの大企業でない限りジョブローテーションで解決するのは難しいとも感じる。しかも、記事にあるように、

人事担当者に「このままではいけない」という自覚があっても、習慣になっているために廃止できません。加えて「転勤は悪いもんじゃないよ」と若かりし頃を懐かしむ経営幹部も多いからです。転勤肯定派あるいは容認派が会社の上層部にいることが、転勤がなくならない大きな理由だと私は感じています。

こんなアホみたいな老害的な理由で無くすことができないという現実も、事実あると自分も感じている。


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と散々非難しておいてなんだが、自分は転勤が好きである。旅行が好きで各地を巡れるのも楽しいし、人間関係のあと腐れが無いのも利点だと思っている。都会より人が少ない田舎のほうが好きだし、乗車率200%の満員電車で毎朝通勤なんてまっぴらごめんであるが、稀有な存在であるとも思う。みんな東京に住みたいって言うし。

正直、いつ訪れるかわからない転勤に備えることで、自分の人生設計プランを立てるのが難しいのも事実である。転勤というシステムが、結婚して家を買って子どもをもうけることの妨げになっているのであれば、この少子化の時代にあまりに逆行していることになる。

 

もうこの日本において転勤システムを無くすのはおそらく不可能である。そもそもこんな小さな国で47都道府県も分裂していることが原因だとも思うし、すべての人が地方都市で満足に暮らしていけるかといっても疑問だ。日本のGDPが労働時間と比較して非常に低水準であることが話題になっているが、自分はこの転勤システムというものが根深く、多大に影響していると感じる。

 

ちなみにうちの会社も他と同じく、転勤無しのコースを選ぶと給与や家賃補助の待遇が一気に悪くなる。「転勤無しのほうがコストがかからないんだからむしろ逆だろう!?」と思ったものだが、これも転勤を社員のデメリットだと捉えているからの格差であって、企業は非常に矛盾した問題を抱えていることがうかがえる。

 

転勤人生/定年退職

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なんか出てきたけどなんつータイトルだこれ。