SOUTH PARKの住人

1日1記事毎日更新!(という目標) 映画好きです。

悲惨な過去インフレ

現代人はストレスにまみれている。そんな人々を納得させるほどの設定を、映画や漫画などの物語の主人公に盛り込ませるのはなかなかに難しい。少なくとも物語冒頭の時点では、多くの読者より、主人公は劣等でないといけないと思っている。

でも「辛い」くらいじゃダメで、「壮絶」くらいじゃないと広い共感を得られない。ちょっとやそっとの悲しい過去じゃ、みんな納得してくれない。そうやってどんどん演出のインフレが進んでいく。

鬼滅の刃』は最たる例だが、家族全員が惨殺されるくらいの過去を背負わせないと、もはや読者は炭治郎を可哀想と思えない。あそこまでしてようやくスタートラインというのが恐ろしい。『進撃の巨人』もそうで、目の前で母親がバキバキと骨の音を立てて喰われるくらいの描写をしなければ、主人公の言動に説得力を持たせられない。今や『デビルマン』並の鬱展開があらゆるジャンルでデフォルトになりつつある。

もはや「クリリンのことかー!」や「シャンクス…腕が…!」程度の悲劇では、もう今を生きる人々には共感してもらえないのかもしれない。