『七つの会議』
(ネタバレなし)
予告編を観た感じだと、あんまり惹かれなかったやつです。
露骨に同じ池井戸潤原作の『半沢直樹』を想起させるような内容で釣られてたまるかと思ったり、野村萬斎の「イッヒッヒ」が少々不快に感じたり、香川照之とか大和田常務まんまやんとか思いつつ、ボブ・ディランの『Make You Feel My Love』を主題歌に持ってくるというセンスに引いたりして、鑑賞前はあまりそそられなかったです。「ぜひとも!」とかいうセリフを安直に流行らせようとする、こましゃくれた態度とかも嫌でした。
けどその予告編が全体的にいい感じにミスリードになっていて(意図は無かったと思うけど)、裏をかかれた気分で、結構楽しめました。
印象的だった「どっちの罪が重いんだろうな」「まるで犬だな」のシーンは本編では順番が逆で、異なる想いで企業にその身を捧げてきた二人の葛藤を表現するこれ以上ない熱い場面でした。会社の正義に従うのか、自分の正義を突き進むのか。背景に秘められた想いを考えると、似たような立場にいる者としては泣いちゃいますね。
特に香川照之は全編通してイキイキのノリノリ。冒頭の営業会議のシーンの独壇場は爆笑。いくらなんでもパワハラ過ぎて正直今の日本じゃ労務監査で一発アウトレベルだけど、そこはデフォルメということで。(パワハラを推奨する内容でも無いのでよし)
残念な点で言うと、原作が400ページを超える濃密な企業劇を描くのに120分の上映は完全な尺不足で、いろんな魅力的なキャラがダイジェスト的に登場しては消えていくのがもったいなかった。野村萬斎演じる八角が、飄々と社員を潰していく謎めいた展開も凄く面白かった分、目的が明かされるのがすごい速かったなという印象。最低でも連ドラで12話は欲しいところ。その分、クライマックスのカタルシスも弱い。「ハイスピードなエンタメにしなきゃ客が飽きるから」と言われてるような感じがしてちょっと舐められている気分。(捻くれてます)
でも、ライトな作りな分、万人にオススメできる秀作でしたね。
七回も会議シーンあったかな?