SOUTH PARKの住人

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第92回アカデミー賞大予想(主要6部門編)

 

そろそろやっておかなくては。

このブログでは昨年に引き続き2回目となるアカデミー賞予想。

数年前と比較すると熱は冷めてはいるが、かつてはライフワークレベルで追っかけていたこともあり、予想屋としては自ずとこの時期が近づくと興奮してくるのだった。

 

southparks.hatenablog.com

※昨年の予想

 

昨年の予想は攻めすぎて外しまくったので、今回はちょっと堅実にいってみようと思います。堅実に行く分、ただ下馬評に乗っかってるだけではないという意思表明をさせてください。(ということでちょっと長文が多いです)

 

作品賞

今年の作品賞はどれも可能性があって超絶難関・・・と言われていたのはいつのことやら、ゴールデングローブで『1917 命をかけた伝令』がドラマ部門作品賞をかっさらってから、製作組合賞やら監督組合賞やら英国アカデミー賞で作品賞を取りまくり、を破竹の勢いで下馬評トップに躍り出た。対抗馬は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』、『パラサイト 半地下の家族』で、どちらも一癖ある作品ではあるが、いずれも監督・脚本・編集という、作品賞を取るためには必須条件とも言われている賞でノミネートされている。前者は俳優賞でも有力で、後者は外国語映画賞もほぼ確実とされている。『1917 命をかけた伝令』は、技術部門こそ強いものの、俳優関連は一切ノミネートなし、まさかの編集賞も外れる状況となっており、不穏な空気は漂っている。

しかし、ここ数年の流れを読み解くと、やはり『1917 命をかけた伝令』は強いと思われる。まず近年は<作品賞=編集賞>が直結しているというジンクスはかなり外れている。編集賞のノミネートが無いのは痛いが、ここはもはやあまり影響が無いものと感じる。

あと最近(というかイラク戦争以降)賞に絡むのは近代戦争映画ばかりだった。『ハート・ロッカー』の劇的な作品賞受賞から、『ゼロ・ダーク・サーティ』や『アメリカン・スナイパー』まで例年注目株はあるものの、アカデミー賞ではあまり強いとは言い難い。生々しい現実に会員が目を逸らしてしまったのか、リベラル層が戦争映画に受賞という名誉すら与えたくないという気持ちが働くのか、技術賞止まりが多かった。

今回は久々の大戦モノであり、しかもアカデミー会員は英国映画好きなので、「そろそろ戦争映画のターンかなぁ。戦争といっても第一次世界大戦だからまあ歴史映画の範疇だし、しかもイギリス映画だし、サム・メンデスでしょ?間違いないし。面白いし。これでいいよね。」というムードは高まっているだろうと思う。

ということで、なんやかんやで作品賞は

 

『1917 命をかけた伝令』

 

と予想。

 

 

監督賞

直近の監督組合賞は『1917 命をかけた伝令』のサム・メンデスが受賞している。アカデミー賞は『アメリカン・ビューティー』以来の2回目の受賞がかかる。対抗馬はこちらも『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のクエンティン・タランティーノと、『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ。最近の監督賞はアメリカ人監督が激弱で、ここ10年だと『ラ・ラ・ランド』のディミアン・チャゼルのみで、他はすべて外国人監督である。これは外国人監督が有力だとも言えるし、「そろそろアメリカ人にも取らさないとメンツが・・・」と思っている会員も多いだろう。となると、まだ一度も受賞していないクエンティン・タランティーノに取らせてあげたいと思うのが自然だとは思うが、いかんせん今回は(今回も)彼の脚本賞受賞が濃厚で、「監督賞はいいでしょ」という流れになってしまうと思われる。ポン・ジュノもシネフィルには相当愛されているが、アカデミー会員は彼の過去の名作たちはおそらくほとんど観ていないだろう。監督賞は功労賞という側面も強いので、今回の受賞はおそらく厳しい。

ということで、監督賞は

 

サム・メンデス 『1917 命をかけた伝令』

 

と予想。

 

 

主演男優賞

これはもう『ジョーカー』のホアキン・フェニックスでほぼ確。「えーヒース・レジャーに続いてまたジョーカーが取るのー?」っていう雰囲気も吹き飛ばすほどの圧倒的存在感で各前哨戦を取りまくり。あと今回は他の候補者があまり強くなく、強いて言えば『マリッジ・ストーリー』のアダム・ドライバーであるが、ちょっとまだ受賞には早いという意見の方が強いのではないだろうか。アカデミー会員の男女比はかなり見直されたものの、未だ白人男性が多く、あのジョーカーを差し置いて若手イケメン俳優に取らせるほど懐は広くない。アメコミの『ジョーカー』が?とも思うが、「アダム・ドライバーに取らせても『スター・ウォーズ』だし、それだったら『ジョーカー』かな」と思う会員の方が多いだろう。(偏見)

ということで、主演男優賞は

 

ホアキン・フェニックス『ジョーカー』

 

と予想。

 

 

主演女優賞

これも『ジュディ 虹の彼方に』のレニー・ゼルウィガーがかなり堅い。実在の人物が強いのは言うまでも無いが、劇中で歌唱まで披露しているのは大きくプラスだ。アカデミー賞を取るためのお膳立ては十分。対抗馬はこちらも『マリッジ・ストーリー』のスカーレット・ヨハンソン。『ジョジョ・ラビット』で助演のノミネートも果たしているため票が分かれるのではないかとの声が多いが、そもそもはやりジュディ・ガーランド役に一般人役で勝つのは厳しすぎるだろう。作品人気は『マリッジ・ストーリー』の方が圧倒的に強いと思うが、俳優関連賞は話の内容よりもやはりビジュアルインパクトなのだ。

 

ということで、主演女優賞は

 

レニー・ゼルウィガー『ジュディ 虹の彼方に』

 

と予想。

 

 

助演男優賞

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のブラッド・ピット以外にはあり得ない。かつてのアイドル的な人気の斜に構えたイケメン俳優という印象は消え去り、近年ではプロデューサーとしての手腕を発揮しまくり、自身の製作会社「プランB」は『それでも夜は明ける』『ムーンライト』などのアカデミー作品賞映画を排出。映画界も誰も彼の文句を言う者はいないレベルの地位を築き上げた。今回演じたキャラクターも最高に格好よく、今最も俳優として脂がのっていると誰もが感じ、「絶対にこれでブラッド・ピットに賞をあげたい」と思わせるオーラが爆発している。もはやこの助演男優賞に全ての『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の票が吸われるのではないかというレベルである。

 

ということで、助演男優賞

 

ブラッド・ピット『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

 

と予想。

 

 

助演女優賞

こちらも『マリッジ・ストーリー』のローラ・ダーンで確。Netflix映画という逆境は一切無く、前哨戦も圧勝である。対抗が同作にも出演しているスカーレット・ヨハンソン(作品は『ジョジョ・ラビット』)ではあるが、これはもう揺るがないだろう。ローラ・ダーンは数年前のゴールデン・グローブでの女性の強さをアピールしたスピーチも記憶に新しく、業界人気も高い。3度目のノミネートで、もはや文句を言う人間は誰もいまい。

 

ということで、助演女優賞

 

ローラ・ダーン『マリッジ・ストーリー』

 

と予想。

 

 

ということで、我ながらつまらないなぁと思うくらいベタな予想をしてしまったが、今年はあまり波乱は無さそうというのが予想だ。個人的に外すとしたら監督賞かな。やっぱりタランティーノが待望の監督賞でオスカー像を掲げるビジョンは誰もが浮かべるだろうし、見届けたいと思う会員は多そうだ。

しかし今年は作品賞ノミネート9作品中、7作品がもう日本で観られるというものすごく恵まれた状況になっている。かつてはノミネート作品のうちの2本くらいしか観れないというのが普通だったが、これもNetflixによる恩恵か。あとは配給会社の読みも良かったというのもあるし、逆に言うとノミネートもあまり波乱が無かった(大方の下馬評通りだった)とも言える。

 

長くなったので続きは次回に。

 

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