SOUTH PARKの住人

1日1記事毎日更新!(という目標) 映画好きです。

『ベルセルク』という長い夢

かなりショックが大きい訃報…。

ベルセルク』と初めて出会ったのは高校のとき。梅田のメディアカフェポパイDDハウス店の奥の方のフラットシートだったな。自分は記憶力悪い方だが、名作と出逢ったときの景色って鮮明に覚えてるんだよな。

 

何で本を手に取ったか忘れたけど、最初は「この主人公『ヴァルキリー・プロファイル』のアリューゼやんw」くらいの気持ちで読み始めてそこからジワジワ惹き込まれて(もちろんこっちが元ネタだとすぐ気づいて)、とにかく3巻のゴッドハンド降臨のシーンの迫力に打ち震えてそれ以降はノンストップだったっけか。「妖精のパックちゃん可愛いなぁ〜」と思って読んでたら途中で男設定だと気づいて性癖が歪みかけたり。

 

黄金時代編に入ってからの凄まじさは今でも忘れない。4巻〜13巻までの鷹の団のエピソードは今でも自分の読んできた漫画の中で生涯ベスト5に入る面白さだ。正直、今まで読んできたバトル漫画が一気に過去になった気分に襲われた。(大好きな藤田和日郎漫画すら)

よくよく考えたら青年誌の暴力描写満載な漫画を本格的に読んだのが初めてだったのかも。『最終兵器彼女』みたいな半エロ漫画は既に読んでたけど、バイオレンス漫画はまだちょっと怖くて…。

 

おこちゃまだった自分はそれまで「ガッツみたいな腕っぷしが強くて愚直な男こそ主人公だッ!!」と思ってたが、グリフィスというキャラクターを見て色々と認識が変わってしまった。誰もが思い描くまさに理想的な英雄像であるグリフィス、そしてなぜこの男がガッツの宿敵となったのかが紐解かれる黄金時代編。英雄の心が徐々に愛憎に染まっていき、虚勢を身に纏うようになり、嫉妬という闇に落ちていく。そして最後に残ったのは人間として、男としての自尊心で、それを守るためにはどんな犠牲も厭わなくなる…。自分が弱き者を救う側であると信じていた者が全てを失ったとき、そして自らのプライドを侵されることは死よりも辛い恥辱であるという、まさに人間の暗黒面が全て込められている。「お前だけが俺に夢を忘れさせた」という台詞が好きでね…めちゃめちゃ美しく悲しいのだ。

黄金時代編のクライマックスである"蝕"の顛末を見て、このグリフィスこそが、ファンタジー漫画という世界の中で最もリアルな人間に近いと気づいた。現実とは最も縁遠い存在だと思っていた者が、まさに人間そのものだったのが震えた。

その生々しい悪意と憎悪の心で、読者にまで圧倒的な絶望を与えてきて自分は戦慄し、俺は今とてつもないものを読んでいるとそこで気づいたのだった。それは人間のあまりの醜悪さに共感できてしまったからであり、自分の何処かに潜んでいるかもしれない闇を抉られたような感覚がしたからだと思う。「こんなものを描いてしまう人がこの世にいるのか」という恐怖すらあったなぁ。

最終的に心の底から「ただの主人公であるガッツは、絶対にグリフィスに勝てない」と思ってしまったもんね。漫画の主人公というものへの認識が変わったくらい、それほどに強烈な衝撃を受けたのだった。

 

ガッツとグリフィスの物語の決着が見られなかったのは本当に悲しい。一体、どういう結末を思い描かれていたのか。『進撃の巨人』も『エヴァンゲリオン』も無事に完結して、『ベルセルク』の終わりも当然のように見届けることができるとどこかで感じていたが、まさかこんな終わりを迎えてしまうとは。

 

しかし未完で終わったとしても『ベルセルク』が傑作であることには変わりない。(自分はちばあきお先生が心の師だと思ってるのでそれはよくわかる) 

ぜひ、今後も多くの人に読まれ続ける作品であってほしい。

 

※思い出だけを語ると悲しいのでここからは好きなところだけ羅列。

ベルセルク 13 (ヤングアニマルコミックス)
 

自分ごときの漫画の認識を変えた話をしましたが、世界の漫画の認識を揺るがした13巻でしょう。自分は『からくりサーカス』が大好きですが、サハラ編のジェノサイド展開なんて間違いなく黄金時代編の影響を受けてますね。てか、影響を受けてない漫画家なんているのだろうか。

ベルセルク 40 (ヤングアニマルコミックス)
 

登場してから賛否両論しか無かったけど俺はシールケ好きよ、だって可愛いしな。妖精がいる世界観なんだから魔法使い居てもいいだろう。「この新しいガッツ一行にいつか"蝕"が訪れる日が来るのか…」と妄想し始めてから早15年。見れなかったなぁ。

この劇場版三部作が手放しで褒められたかどうかは置いといて、"蝕"を全力で描ききったことは賞賛したいと思います。例のシーンも倫理観との狭間で頑張って描写してましたね。キャスカに関してはR指定入ったから中盤のセックスシーンもちゃんとエロくて反応した気がするし。でもトータル6時間観ても最後までガッツの声はなんか合わんかった。でもちゃんと全国で数館しかやってなかったR18版を観たはず。

ベルセルク黄金時代篇 Blu-ray BOX

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  • 発売日: 2016/06/22
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バズーソの声にケンコバを充てたセンスは100億点。上手かったし、インパクトあるけど一発キャラという絶妙なネタ人選。芸能人声優の使い方として最も正しい形だと思うわ。確かエンドロールで絶望的に合ってないCHEMISTRYの歌が流れてたような気がするが忘れた。

でも予告編の禍々しさは満点やで!


映画『ベルセルク 黄金時代篇III 降臨』予告編【HD】 2013年2月1日公開 - YouTube

 

一番好きなキャラは不死のゾッド!実は大して何もやってないけどかっこええのだ。

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額縁に入れて飾りたい名シーン!
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こんなの女の子だって思うじゃん!
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今思うとグリフィスのBLみがわりと凄いですな…。(なお下半身は丸出し) 
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とにかく書ききれないほどの魅力でいっぱいでした。感謝もいっぱい。まだ終わらない夢を見ている気分が今後も続くのだろう。三浦先生ありがとうございました。

 

ベルセルク 1 (ヤングアニマルコミックス)