「いっつもこうなんだよ、ちょっとだけ間に合わないんだ」
映画『歩いても歩いても』より。人生の残酷さを表現している切ない台詞だ。
生きていくということはかくも思い通りには行かない。「あの時こうしておけば」誰もがそう思う。別の道があったとしても、その岐路に立っているときはそのことに気づかない。何をしたかったのか、思い出したときにはその景色はもう遥か後ろに通り過ぎてしまっている。
だからと言って前を向いてもその先にはもう何も無いかもしれない。それでも前に進まなくてはいけない。次は間に合うように。次こそは後悔しないように。
自分もいつも間に合わない。後悔ばかりの人生だと頭でわかっていても。どれだけ歩いても歩いても、何かを得られることはないのだろうか。俺はいつも小舟のように揺れている。